「…」
「…ん?あ、寛人、どうしたの?」
やっとのことで残りの授業が終わって。
教室の掃除をする人やバタバタと部活へ行く支度をする人がいる中で、寛人があたしの方に近づいてきた。
「今日、委員会ってあるの?」
「えーと…確か今日は無かったと思うけど…どうかした?」
淡々と答えるあたしに、そのブ厚い眼鏡の奥の瞳は見えなかったけど。
寛人の声の調子が少しだけ下がったから、安堵してるっていうのは伝わってきた。
「……そうか…だったらいいんだけど………じゃあ、これからの予定は?」
「…んー?…予定かぁ…予定、ねぇ?」
「…何か気に掛かることでも?」
「…まぁ、あると言えばあるような…でも、何?なんかあたしに、用事でもあるの?」
予定を聞かれて、思わず言葉を濁すあたし。
そんなあたしに、寛人の様子がいちいち反応するのが少しだけ面白くて。
自惚れじゃなく、これが寛人の気持ちの現れならって思うけど。
…やっぱり安心は出来ない。



