『やっぱり、無理かなぁ…渡すのは…』 心の中でそう呟いて、そっと机の横に下げてある鞄に視線を投げた。 告白しないでチョコとプレゼントを渡す術なんて、幾らでもあるだろうけど。 好きな気持ちを全面に出して買ったチョコは、到底「義理だ」と茶化してなんて渡せるはずがないから。 あたしは、溜息をついて残りの授業をやり過ごすことにした。 好きな気持ちと比例するのは。 どうしようもなく圧し掛かる、独り善がりな不安や切なさ。