【短】雨宮さん家の大型犬


「話くらい聞いてくれてもいいじゃない」


そう言って、静人の肩に彼女が触れようとした瞬間…ぱしん、と乾いた音がそこに小さく響いた。


「…静人くん?」

「あのさ、気安く触んないでくれる?今俺が言ったこと聞いてた?俺は今、あこちゃんと話してんの」

「でも…」

「大事な彼女悲しませたくないんだよね。俺。言っとくけど、俺…彩恋以外興味無いから」

「ひどい!」

「なにが?」


静人が、尋常じゃないくらい怒っているのが、ひしひしと感じられる。

私は、なんだか居たたまれなくて、無意識に掴んでいた静人の手を解こうとした。

すると、静人は私の方を見て、ぽんぽんと髪を撫でた。

「あこちゃんは悪くないよ。大丈夫…だから、離れないで?」

「ん…」


そう言ってぎゅーっと手を握り返されて、その温かさに、どうにかザワザワする胸を押え込む。


その間も、彼女はカリカリとした様子で私達の近くで腕を組んで立っていて、その形相は鬼みたいだった。