【短】雨宮さん家の大型犬

なのに…。


「窪田くーん。呼ばれてるよー」


人もまばらになって、あとは帰るだけだと言うのに、この状況で静人を呼び出す不届き者はどこのどいつだ。

そう思って、教室の入り口の所を見やると、何故か心臓が、ぎゅーっと縮んだ気がした。


だってそこには………今年のミスコンで優勝した、美少女が見事なポージングをして、静人のことを見て、微笑んでいたから…。


「しーずーとくん〜」

「…………」


あぁ、やだな。
なんで、そんなに勝ち誇ったように静人の名前を呼ぶんだろう。


なんで、私はこんなにモヤモヤしちゃうんだろう。


きゅっと口唇を噛んで俯くと、ふわり、とおでこの辺りに柔らかい感触。


「あこちゃんが嫌がることはしたくないから。俺、ここに居るよ?」

「しーちゃん…」

「というわけで、そこのコ、なんの用があるのか分かんないけど、俺あこちゃんと話ししてるから無理」

そう言って、くるり、とそのコに背を向けると彼女はツカツカとこちらにやって来た。