【短】雨宮さん家の大型犬


「ねぇ…しーちゃん?」

「んー?離してとか言われても、それは無理」

「そんなこと言わないってば。ただ…」

「ん?」

「いい加減、しーちゃんの顔…見たいんですケド?」


すると、手早く私の体を反転させて、向かい合うように座らせる。

なんという…早ワザ……!

そんな風に思いながらも、やっと見られた静人の顔を両手で包んで、にこりと微笑む。


「な、なーに?あこちゃん??」


どうも、静人は私が真正面から見つめることに慣れないらしく、こうすると目を泳がせて顔を赤くさせる。


「……すき」

「!?」

「んふふー…照れてる。可愛いー」


ぽふぽふ


ふかふかの髪を撫でると、片目を瞑って気持ちよさそうにするのに、どこかソワソワしている静人に、もう一度…微笑んだ。


「ほんと…すき」


これが放課後の、ほとんど人のいない教室で良かったなと思うくらい甘い時間。

私だって、牽制しまくりたいんだ、本当は。


静人は世界一の私の彼氏で、世界一格好良くて、世界一私の大切な人だから。


他のコに名前を呼ばれるのも嫌だし、わがままを言うなら……見つめて欲しくもない。


もう…一つ一つ静人に向けられる視線を摘み取りたいくらい…それくらいに牽制したい。