【短】雨宮さん家の大型犬

そして、翌日。
やっぱり怠い手足と、重い腰を引き摺って、無言で学校までの長い道のりを歩いていると、隣で思い切り反省した様子の、静人がとぼとぼとついてくる。



「あこちゃん、ごめんね?」

「んー…」


あまりの怠さに会話も上手く成立しない。
そんな所に、見たことのない制服を着た男の子が現れた。


「ふーん?あんたがウワサの窪田静人ってやつのオンナ?」


朝から癇に障る悪意のある、尖った声と表情。
私は、面倒くさいなぁと思いながらも、その男の子の方を見る。


「リカがこいつに振られたって言うから、どんなオンナが彼女かと思ったら、全然普通…てかそれ以下だな」


あぁ…ほんとに面倒くさい。
そんなこと言ったら………。


「おい。お前いきなりなに?てか、リカって誰?」


そんな怒気たっぷりの声で、静人が私をまた自分の後ろに隠して、そう言った。


「はぁ?お前自分の振った女覚えてねーの?」

「覚えてないね。ていうか、覚える必要ないだろ」


あ、これはやばい。
私は静人の性格を丸ごと把握してるから…このままいくと…。


「人の彼女に、いちゃもん付ける暇があるんなら、そのリカだかなんだかってコ、しっかり躾けといてよ?…彩恋のこと悪く言う奴には、しっかり落としまいつけてもらうっていうのも伝えといて。じゃーね?」


あぁ…何時もはわんこなのに、今は大きなオオカミみたいに、キバを向いてる。

相手の男の子、引きつった顔したままで固まってるし……。


しかも、滅茶苦茶久しぶりの「彩恋」呼び…。
今日の静人は、200%格好良いから、……昨日のことなんて水に流して許してあげちゃおう。