彼女でもない女の手を握るとかやっぱりちゃらいし、いい加減にしてほしい。
握られてるこっちの気持ちなんて微塵も考えてないんだろうな。


手汗が滲んできて焦っていると、ふいに。



「遥日くん~おはよ」


目の前に、ひょこっと一人の女の子が現れた。

昨日の雛子ちゃんに引き続き、またしても可愛い子で、下の方で結んだ控えめなツインテールがよく似合ってる。

その子は私に目もくれず西野に歩み寄った。



「ね、今日のお昼休み空いてる?先約があるなら今度でもいいけど、一緒にどうかな?」



可愛い上目遣いに、女の私でもキュンときてしまう。

ちらっと西野を見上げると……

うーん、無表情。

私の手、握ったままだけど大丈夫なの?



「今日の昼?んー……いーんじゃない」

「ほんと?やったあ!勇気出して誘ってよかったな~。最近話せなくて寂しかったんだよね」

「うん。じゃあ、また昼」



短く返事をして、その子から目を逸らした西野。
そっけない態度に慣れてるらしい彼女はニコニコして、私とは反対側の西野の隣を歩き始めた。