愕然とする。

ヘンな顔だのまぬけな顔だの、言いたい放題。
ちょっと、さっきから失礼すぎるんじゃない?



……そう言って睨むつもりだったのに。

顔をあげた先。


西野くんがククっと楽しそうに笑ってて

それが、いつものやる気なさそうな、おすまし顔と全然ちがうから

不覚にも心臓が──────ドクン。



いやいやいや、ここでときめいちゃダメだってば。


そう言い聞かせて思いっきり目を逸らす。
廊下側を向いて、それはもう不自然なほど。




「……あ、利奈」

「……」

「りーな」

「……」

「利奈ちゃーん?」



西野くん、完全におもしろがってる。だって、セリフにいちいち笑い含んでるもん。




「あ、あんまりからかわないで……」



横目で西野くんを見る。



「からかってるつもりないけど」

「嘘つき……」

「ほんとだって。俺は親切に教えてあげようとしてんのに」

「……教えるって?」



ふと、お腹あたりに手が当てられてビクッとした。