エミリアが短くなった髪を手で撫でた。
「軽くなってすっきりしましたわ。どうもありがとうございます」
散髪代が浮いたとはいえ、床屋から受け取ったお金はそれほどたいした金額ではなかった。
それでもエミリアは、手のひらで小銭を転がしながら喜んでいた。
「これがお金というものですね。あなたの金貨とは違う色ですが」
「もったいない話だぜ」
「いいのです。わたくしには不要なものでしたから」
エミリアはすぐそばの広場で開かれていた市場に向かって歩き出す。
「それよりも、お腹が空きませんか。このお金で何か買いましょう」
エミリアは微笑みを浮かべながらさまざまな屋台の間を歩いていく。
リンゴとチーズとパンを買うとお金がなくなってしまった。
それでもエミリアは初めての買い物に満足していた。
馬を連れながら二人は街外れの川へ向かって歩いた。
「買い物というものは楽しいですね」
「まあ、そうかもな」
不服そうなエリッヒに女が尋ねた。
「どうしたのですか、さっきから浮かない顔で」
「だって、そりゃそうだろ。大事な髪を切っちまったんだからよ」
エミリアは立ち止まってエリッヒと向かい合った。
「少しはほめてくれたらどうですか」
思いがけないことを言われて男はたじろいだ。
「似合いませんか?」
身分やら社会的常識にとらわれて何も見ていなかった。
目の前にある現実を見つめろ。
そこにあるのは可憐さだ。
だが、出てきたのは、その言葉ではなかった。
「いいんじゃないか」
エミリアが顔をしかめる。
「なんですか、それは」
男が鼻の頭をかく。
「あ、いや、その……。す、素敵という意味だ」
「嘘ばっかり」
「俺は嘘は言ったことがないぞ」
「嘘は言わなくても、大事なことも言えない。ずるい人」
「じゃあ、俺はいったい何をしゃべってるんだ?」
「いいかげんで気まぐれなことばかり。あなたの言葉には重みがありません。吹き抜ける風と同じです」
エリッヒは黙り込んでしまった。
「軽くなってすっきりしましたわ。どうもありがとうございます」
散髪代が浮いたとはいえ、床屋から受け取ったお金はそれほどたいした金額ではなかった。
それでもエミリアは、手のひらで小銭を転がしながら喜んでいた。
「これがお金というものですね。あなたの金貨とは違う色ですが」
「もったいない話だぜ」
「いいのです。わたくしには不要なものでしたから」
エミリアはすぐそばの広場で開かれていた市場に向かって歩き出す。
「それよりも、お腹が空きませんか。このお金で何か買いましょう」
エミリアは微笑みを浮かべながらさまざまな屋台の間を歩いていく。
リンゴとチーズとパンを買うとお金がなくなってしまった。
それでもエミリアは初めての買い物に満足していた。
馬を連れながら二人は街外れの川へ向かって歩いた。
「買い物というものは楽しいですね」
「まあ、そうかもな」
不服そうなエリッヒに女が尋ねた。
「どうしたのですか、さっきから浮かない顔で」
「だって、そりゃそうだろ。大事な髪を切っちまったんだからよ」
エミリアは立ち止まってエリッヒと向かい合った。
「少しはほめてくれたらどうですか」
思いがけないことを言われて男はたじろいだ。
「似合いませんか?」
身分やら社会的常識にとらわれて何も見ていなかった。
目の前にある現実を見つめろ。
そこにあるのは可憐さだ。
だが、出てきたのは、その言葉ではなかった。
「いいんじゃないか」
エミリアが顔をしかめる。
「なんですか、それは」
男が鼻の頭をかく。
「あ、いや、その……。す、素敵という意味だ」
「嘘ばっかり」
「俺は嘘は言ったことがないぞ」
「嘘は言わなくても、大事なことも言えない。ずるい人」
「じゃあ、俺はいったい何をしゃべってるんだ?」
「いいかげんで気まぐれなことばかり。あなたの言葉には重みがありません。吹き抜ける風と同じです」
エリッヒは黙り込んでしまった。


