枯れ枝を集めて戻ってきたエリッヒがしゃがみ込んでエミリアを後ろから抱いた。
「すごい震えだな。心配するな。もう大丈夫だ」
「な、なんでもありません。こわくなどありませんわ」
「強がることはないさ」とエリッヒが耳元でささやいた。「俺は怖かったよ」
男の正直さに、強がっていた心がもろくなった。
涙が出てきた。
「危ないところだったな」
エリッヒの言葉にエミリアはうなずいた。
男の腕に頬を押しつけて泣いた。
しばらくの間、体の震えが止まるまで、男はじっと抱きしめていてくれた。
目の前は焚き火の炎、後ろはエリッヒのぬくもり。
体の震えはおさまったが、胸の鼓動は激しくなる。
「ありがとうございます。もう、大丈夫ですから」
お礼を言うと、そうかい、とエミリアの頭をなでながらエリッヒはいったん立ち上がった。
薪を積んで焚き火の周りを囲う。
拾ってきた木を立てかけるように並べると炎が大きくなった。
周囲が明るくなって、エミリアの心も穏やかさで満たされていった。
エリッヒが隣に並んで座った。
エミリアは男の肩に頭をのせた。
二人は黙ったまましばらく揺れる炎を眺めていた。
エリッヒが不意に笑い出した。
「いや、しかし、まさかあんなに燃えるとは思わなかったな。荷車がなくなっちまった」
「では、あの火事はあなたが?」
「ああ、怪しい奴らが屋根裏に上がっていくのを見ちまったんでね」
「なぜ火などつけたのですか。村人も迷惑でしょうに」
「あんな連中とまともにやりあって勝てるわけないだろうが。向こうは三人。俺一人にあんたはお荷物」
「それでも士官ですか。貴族の誇りはないのですか」
「おまえさんだって、『元』王族だろうが。自分で何ができた」
エリッヒの言い分ももっともだった。
目を閉じて顔を隠しているだけだった自分。
現実逃避以外に何もできなかった自分。
弱いだけの自分。
「すみません。言い過ぎました」
「素直だな」
「わたくしが一人で何もできないから、あなたにご迷惑をかけてしまうのですね」
「べつに迷惑じゃないさ」
そういうとエリッヒはまた立ち上がって、薪を探しにいってしまった。
「すごい震えだな。心配するな。もう大丈夫だ」
「な、なんでもありません。こわくなどありませんわ」
「強がることはないさ」とエリッヒが耳元でささやいた。「俺は怖かったよ」
男の正直さに、強がっていた心がもろくなった。
涙が出てきた。
「危ないところだったな」
エリッヒの言葉にエミリアはうなずいた。
男の腕に頬を押しつけて泣いた。
しばらくの間、体の震えが止まるまで、男はじっと抱きしめていてくれた。
目の前は焚き火の炎、後ろはエリッヒのぬくもり。
体の震えはおさまったが、胸の鼓動は激しくなる。
「ありがとうございます。もう、大丈夫ですから」
お礼を言うと、そうかい、とエミリアの頭をなでながらエリッヒはいったん立ち上がった。
薪を積んで焚き火の周りを囲う。
拾ってきた木を立てかけるように並べると炎が大きくなった。
周囲が明るくなって、エミリアの心も穏やかさで満たされていった。
エリッヒが隣に並んで座った。
エミリアは男の肩に頭をのせた。
二人は黙ったまましばらく揺れる炎を眺めていた。
エリッヒが不意に笑い出した。
「いや、しかし、まさかあんなに燃えるとは思わなかったな。荷車がなくなっちまった」
「では、あの火事はあなたが?」
「ああ、怪しい奴らが屋根裏に上がっていくのを見ちまったんでね」
「なぜ火などつけたのですか。村人も迷惑でしょうに」
「あんな連中とまともにやりあって勝てるわけないだろうが。向こうは三人。俺一人にあんたはお荷物」
「それでも士官ですか。貴族の誇りはないのですか」
「おまえさんだって、『元』王族だろうが。自分で何ができた」
エリッヒの言い分ももっともだった。
目を閉じて顔を隠しているだけだった自分。
現実逃避以外に何もできなかった自分。
弱いだけの自分。
「すみません。言い過ぎました」
「素直だな」
「わたくしが一人で何もできないから、あなたにご迷惑をかけてしまうのですね」
「べつに迷惑じゃないさ」
そういうとエリッヒはまた立ち上がって、薪を探しにいってしまった。


