あたしはキャラメルをひと粒口に放り込むと、かたん、と席を立ちそのまま教室を後にした。


あとから文句言われても、どうでもいいや。

怒られる理由も特に無いし。


そう思って、校門を一人で出ようとすると、朝目の合ったあの男子がぽつんと立っていた。


「あ、麻倉さん!良かった、会えて。…あの…オレ、ずっと」


え?
これって?
まさかこの展開って……?



「好き、なんだ…」

「あ…うん……」

「で…良かったら……付き合って欲しいんだけど……」

「え…あ、あの、…」


こういう時、どうしたらいいんだろ?
ちゃんと断らなくちゃ、だよね?


「あの…その気持ち、凄く嬉しいんだけど…あたし好きな人がいて…」

「そっか…あの…いつも一緒にいる奴だよね?」

「っ!バレてた…?」

「うん。だと思ってた」

そう言って、彼ははははっと笑った。