背中に滑らせる指。
押し付けられるようにして這う口唇。
どれも全て、この心に焼き付けて。
薄めに引いたアイラインが、少しだけ滲む事をくすりと笑う事で隠して…私はゆっくりとベッドを離れる。
「さよなら…達矢」
眠った髪を緩く撫でてから…私はこの部屋を出た。
もう二度と、来ることはないと固く誓って。
外は、花冷え。
冷たい雨が降り注いでいて、思わず傘もささずに歩き出したい気分に駆られる。
私から初めて、起こしたアクション。
それは別れであったけど。
明日から泣かないように、強くなる。
生まれ変わる為に。



