月夜だとバレないように、パーカーにズボンではなく制服姿で夜の街へ入った俺。


ポケットにはいつでも連絡を取れるようにスマホを入れている。



『……で、早速連絡したのね』


「そりゃあ、不安。というか桜蘭ってどこ?」


『そればかりは分からないけど、普段行かないところにいるんじゃない?』



ああ、たしかに普段行くところで桜蘭の姿を見かけることはない。


月那の言う通りだと思った俺は、話しながら普段行かない道へ出た。



「……いた。4人いる」


『え、早速?』



幸運に恵まれたかはまだ分からないが近寄る価値はある。


俺はその集団に近づこうとしたその時。



「──おい」



誰の声だろうか……少なくともそこの集団のひとりの声だ。


鋭い声で呼ぶ姿に俺は息を飲んだ。