そう思うと、涙がこぼれ落ちる。


「お前……自分がなにしたのかわかってんのか?


この女をあきらめてくれないと、この女が苦しむだけだぞ?」


「うるさい!


お前みたいな邪魔者に言われたくない!」


「邪魔者はお前だろ。


この女を怖がらせやがって……」


「……っ、うるさいんだよ‼︎」


そう言って、紀野くんが翔さんに襲いかかろうとしたそのとき。


「もうやめろ‼︎」


紀野くんのうしろから、そんな声が聞こえてきた。


声のしたほうに目を向けると、そこには悟さんと誠さんと薫くんと匠くんがいた。


誠さんと薫くんと匠くんは制服姿で、学校を早退してここまで来たようだ。


「さぁ、もう観念しろ」


翔さんがそう言ったあと、紀野くんは唇を噛みしめて、床にひざまずいた。