でも……。


目を開けて、ストーカーの姿が完全に見えなくなった瞬間、急に恥ずかしくなった。


熱くなった両頬を両手で包み込む。


そんな様子を見て、翔さんがニヤッと不敵な笑みを浮かべた。


うっ、嫌な予感……。


「なに、その顔。


もしかして、もっとキスしてほしかった?」


「は……もういいです!」


な、なに言おうとしたの、私。


今、『はい』って言おうとしなかった⁉︎


あ、危ない、危ない……。


「ふーん。


もしあんたが『もっとキスして』って言ったら、もっとしてやるのにな」


「な……っ!」


顔がさらに熱くなる。


な、なにを言ってるの、翔さん!


心の中でツッコむが、言うのはやめた。


言ったら、翔さんに気持ちを当てられてしまいそうだから。