顔から熱が出ていったのを確認して、悟さんの顔を覗き込む。


その直後、リビングの奥から声がした。


「なぁ兄貴、腹減ったんだけど」


その声で、悟さんから離れた。


い、今の声は……。


「あ……あぁ、今作るよ、翔」


やっぱり翔さんだ。


悟さんのことを“兄貴”と呼ぶのは、翔さんしかいないから。


悟さんが慌てた様子で、キッチンに向かった。


リビングに、私と誠さんと翔さんの3人が取り残された。


3人になったところで、翔さんがニヤッと、不敵な笑みを私に見せた。


「俺、邪魔だった?」


「今は邪魔じゃないですよ」


「“今は”ってなんだ、“今は”って」


「翔さん、いっつも私の邪魔をするじゃないですか!」


「ほー、たとえば?」