しばらく目をつぶったあと、ようやく風がやみ、そっと目を開けた。


視界に映る光景は変わらないが、少しだけ視界がクリアになった気がする。


視界がクリアになったのを確認してすぐに私は斎場に入った。


斎場に入ると、奥のほうにふたつの白い棺とふたつの遺影があった。


それらを見た瞬間、私は再び涙を流した。


だって、ふたつの遺影は私のお父さんとお母さんのものだから……。


ふたりは事故で死んだ。


信号無視をしたトラックに勢いよく衝突し、即死してしまったのだという。


お父さんとお母さんが死んだとき、私は事故現場にいなかった。