「…大丈夫…なわけないか…怖かったよね?もういなくなったから…って」
「崇史くん!崇史くん!崇史くん!…っ」
宥めようとして。一歩近付いたら、どんっと勢い良く彼女が俺に抱き着いてきて、怯えたように俺に救いを求めて何度も何度も名前を呼ばれた。
「大丈夫…大丈夫だよ。俺がついてるよ…」
ぎゅうっと抱きしめて、肩を撫でるとそれが安心するのか、もっとしてって言うみたいに彼女の手が俺に巻き付く。
「泣かないでよ…真梨恵さん…泣かないで…?」
泣かないで、あんな男のために。
笑ってよ…俺のために、俺だけに。
ばかだな。
一人じゃないよ、そばにいるよ。
笑ってよ…好きだよ…大好きだよ…。
素直に言葉に出来ない想い。
あんなに冷たくしておいて、本当に今更そんなことを言えるはずもなくて。
俺は彼女の肩を撫でながら、何度も心の中で、そう思った。



