室内にはその男だけではなく、他にも数人の気配がしていた。

両手をネクタイできつく縛られた私は、教室の扉から遠い場所に座らされている。



「教えてくれる気になった? 藤川の弱点」

「そろそろ本気で教えてくれない? 藤川は完璧すぎて弱点が見えねーんだよ。七瀬ちゃんなら知ってるよね?」

「もう少し怖い思いしないと、教えてくれないのかな?」

「…………」


無言で睨みつけると、その男はニヤリと嗤った。


「教えてくれないなら――キミが弱点ってことで」


男が顔を近づけてくる。


「キミのこと滅茶苦茶にしたら、あいつがどんな顔するか。見てみたいよなぁ」


耳に不快な熱い息が吹きかかる。


「それとも、他の男の手垢が付いた女は要らないって、俺らにくれるかなぁ?」

「やっ、無理!」


キスをしてこようとする男から、顔をそむけて逃れた。

抵抗すれば、もっとひどいことをされそうで、下手に反撃ができない。



一人が私のブラウスのボタンに手をかけ、もう一人はスカートの裾へ指先をすべらせる。



いつもなら、こうなる前に助けに来てくれるはず。

なのに、今日は遅い。