セイちゃんのクラスはどこだろう。

近づかないようにと藤川から言われているけれど。

私が過去にセイちゃんを傷つけたこと、きちんと謝らないと気がすまない。


「あれ? もしかして貴女……」


3年の教室のあるフロアにたどり着いたとき、ひとけの少ない廊下で声をかけられた。


「あー、やっぱり。藤川君の後輩だよね」


見ればその人は、以前藤川と仲良く話していた女子生徒だった。

頬にふわりとかかる髪を耳にかけ、緩く首を傾げる。


「藤川君に用事?」

「いえ、今日は別の人に」


セイちゃんの名字が思い出せないので、どこのクラスか教えてもらうわけにもいかない。

事前に、藤川か咲都に聞いておけば良かった。


「別の人? 名前は?」


なぜかその先輩は、絡むのをやめない。


「えっと、セイって言うんですけど」

「セイ……? そんな人いたかなぁ」


名前だけでは通じなかったらしく、眉をひそめられてしまった。


「ねえ。貴女に話があるんだけど、ちょっとだけいい?」

「え?」


その人は強引に私の手首を引っ張った。