たぶん美愛は、今も小野寺理希とデート中。

そんな妹を心配した咲都は、自分が迎えに行くと言い、私達とは別々で帰ることになった。


美愛の恋、上手くいくと良いな。

桜花と伯王は敵対しているから、難しいのかもしれないけれど。




大通りで信号待ちをしていたら、藤川が何気なくこちらを振り返る。


私の顔を冷たく見下ろした彼は、何かに気づいたように一瞬目を見開いた。



そういえば、ケイさんにメイクをしてもらったから。

藤川もいつもと違うことに気づいてくれたのかな?



そんな期待をよそに、藤川は無言で目をそらし、私の手首を掴む力を強めた。


信号が青になり、歩き始めてからも、藤川は私の顔を見ない。


少しぐらい、感想を言ってくれてもいいのに。



「ちょっと家に寄って行けよ。……七瀬に話がある」