あっと思ったときには、もう遅かった。


私の上半身が、歩道橋の手すりの外にかたむき、足が宙に浮く。


「バイバイ、理央ちゃん」


沙織の声が聞こえた。


あぁ、死ぬんだな、私。


なんで【人間消去アプリ】を使ったんだろう。


インストールしなければよかった。


目からひと粒の涙がこぼれた直後、後頭部がアスファルトに叩きつけられた。


足や背中からも血が出て、私の体の周りは血の海になっていることだろう。


どこかから悲鳴が聞こえる。


騒ぎ声が聞こえる。


でも、私にはどうすることもできない。


自分の死を悟ったと同時に、私は意識を手放した。