だってその子は、中学時代の同級生であるののかだから。


中学を卒業してからののかには一度も会っていなかったが、見た目は全然変わっていない。


中学のときのままだ。


ののかはスマホをいじりながら、こちらに向かって歩いている。


私がいることに気づいていないようだ。


『広瀬さんってバカだね』


中学時代の、ののかの言葉がよみがえってくる。


私がバカ?


だったら、あんたはもっとバカだね。


ふん、と鼻を鳴らし、早足でののかの近くまで歩み寄る。


そこで、ようやくののかは私の存在に気づいた。


「あっ……」