「きーんじょー?さっきの数学のノート取った?」

「…あー…」

「…寝てたね?」

「いや…寝てない…」


彼は嘘を吐く時、必ず口元にあるホクロを触る癖がある。


「うそだぁ…」

「聖月ノート取ってるし…別に問題ない…」


そう言って、変な確信を持つのはどうして?
私を信用してくれてるの?
それとも私はあなたの特別なの?

「なにそれ!問題ありありでしょー?私のノートきんじょーに貸したら、数学苦手なのに、授業追いつかなくなるじゃん!」

私はわざと怒ったように、少し大袈裟なジェスチャーで彼の机に両手を置いた。