【短】溶けた氷はただの水に変わるけど…

「…きんじょー?」

「んー…?」

この意味のわからない、状況を問い正したくてじろっと彼の方を見ると、彼はふわりと微笑んで、私を抱きしめる。


「重い…って、色々説明してくれるよね?!」

「やだ」

「なんでよ?!」


ぷぅっと膨れると、その頬をつんつんと突かれる。


「聖月約束破った。だから、ダメ」

「なっにそれ?!それでも彼氏か!」

「あ…」

「あ……」

「認めた」


ぽろりと零れた言葉に、嬉しそうに反応した彼。
そんな私は、絶叫に近い声を上げる。

「もーーーー…いや。なんなのよー!ばかぁ!」

「かわいい…聖月。すき」


すりすりと頬ずりされて、私はジタバタと暴れる。
それでも、彼は私から離れない。

「ばかばか!朝から盛んないでってば!」

「だって、ほんと、かわいい。聖月、すき」

「やめてってば!くすぐったい!」

ぎゅうぎゅう抱き締められると、胸がきゅんとしてしまう。
口ではダメだと言ってしまうのに、なんてこんなに素直に受け入れてしまうんだろうか…。