【短】溶けた氷はただの水に変わるけど…

翌日。

学校は騒然としていた。


「な、に…これ?」

何処を見ても、お祭り騒ぎのような校内。
私はその異変の原因がなんなのか、近くに居た女子に声を掛けた。


すると、彼女は興奮したように私の肩を掴んで聞いてくる。


「新島さんっ!おはよう!ねぇねぇ!金城くんと付き合うって本当?!」

「え?あ、あの…」


ぐらんぐらんと肩を揺すられ、目眩が起こる。
それでも、構わず彼女はまくし立てた。


「しかも!転校生の大塚くんと金城くんが新島さんのことを取り合ってるって!!本当なの?!」

「いや、あの……」


そこで、後ろからふわりと感じたことのある温もりが私を包んだ。

「ほんと。聖月、先に行くとか酷い。約束したのに…」

「きゃー!!金城くんおはよう!やっぱりね!よかったね!!念願じゃーん!…あれ?でも…そうしたら大塚くんは…?」


そんな彼女の疑問に彼が当然のことのように答える。


「彼は聖月の”ただ”の幼馴染」

「そうなんだー!でも、ほんとよかったねー!金城くん!お幸せにね!」


そう言って彼女は浮ついた校内の雰囲気に飲まれていく。


なんなのこの、全校上げての祝福ムードは…?

しかも、念願…って?