【短】溶けた氷はただの水に変わるけど…

私は、私の隣でにこにことしている彼を見つめて、色々と考えてしまった。

未だに信じられない彼からの突然の告白。

面倒だってあんなに言ってたくせに。
そんなに私、好きだって顔に出てたかなぁ?

物欲しそうにしてたかな…?


もしかして、実は彼は私のことをからかってる?
いや…彼に限ってそんなこと…。


悶々としている内に家の前に着いてしまう。


「聖月、明日は迎えに来る…」

「え?大丈夫だ…」

「だめ。俺が。だから…約束」

「う、うん」


そう言って、小指を差し出されて、私は前に掴まれた右手の小指を彼の前に出す。

すると、くすりと笑った彼が、きゅーっと私の小指に自分の小指を絡めてきて、耳元で小さく「やくそくー…」と囁いてから、

「じゃあ、また明日」


とその場を去っていった。