「ほんっとに、きんじょーってば朝弱いよねー?…それなのに、学年1位キープとかなんなの?ずるい!」

「んー…そう?」


かしかし


柔らかそうな色素の薄いくせ毛を掻いて、威張るわけでも、謙遜するわけでもなく彼はへらっと緩く私に向かって笑って、私の頭をくしゃくしゃとしてきた。


「ちょ、きんじょー!前髪崩れるー折角セットしてきたのに!」

「聖月はこっちの方がいい…」

サイドに流していた前髪をくしゃりと戻されて、楽しそうに笑い掛ける彼。

それがもう、本当にほんとーに大好きで…。
喉元まで『大好き』が競り上がってくるけれど。

「んもー!信じらんない!」

なんて、思ってもないことを口にして誤魔化した。
…戻された髪を、そのまま整えて。