【短】溶けた氷はただの水に変わるけど…

「え…き、きんじょー?」

「…だれ?」

「あの、幼馴染の…」


そこまで言うと、さっきまでとは違う声色ではじくんが私の言葉をさえぎる。


「大塚壱。…あんたは?」


そして、はじくんは私の手を握ってくる。


「え、あ…の?ちょ、ちょっと?」

「俺は金城。聖月の手、離して。授業始まる…」

「うわっ、ちょ、待って、待って!きんじょー?!」


なんだかよく分からないけれど、彼ははじくんに凄く怒っているようで、半ば無理やり私の手をはじくんから離すと、私の肩を抱くようにして教室の中へと押しやる。