体温が一気に低下していくのを感じた。


見ない方がいい。


そう思うのに、あたしの目は足元にいるソレに釘付けになっていた。


蠢く黒いソレから視線を離すことができない。


ゴクリと唾を飲み込んだその時……目があった。


ソレが顔を上げ、こちらを見たのだ。


白い眼の中に、赤い瞳孔がランランと輝いている。


ソレは大きな口を開け、白い牙を覗かせて言った。


「お母ちゃん」