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学校から帰る頃、あたしの体調はスッカリ元通りになっていた。


「友里、今日買い物に付き合ってほしいんだけど」


教室から出ようとしていた時、梓にそう声をかけられてあたしは立ち止まった。


昨日は家に戻っていないし、今日は早く帰って家のことをしないといけない。


頭では理解しているけれど、足が止まったまま動かなかった。


山の麓で大声で泣いたことを思い出す。


あたしの本心はあの時叫んだことで間違いなかった。


「……行く」


2人への反抗心からか、あたしはそう言っていた。


今までずっと、やりたいことを我慢してきた。


友達に誘われても断ってきた。


たった1回、自分のやりたいことを尊重するだけだ。