☆☆☆

できればもっと甘えたい。


透がずっと隣にいてくれたら。


そんな風に思う。


だけど、今はまだできなかった。


学校から企業へあっせんしてもらう時に成績や生活態度が関係してくる。


今は就職が難しくなっていると聞くし、気を緩めるワケにはいかなかった。


すべてはあの家から出るため。


それだけのために、頑張るんだ。


いつもの道を歩いていたつもりだった。


時間にしても、そんなに経過している感覚はなかった。


それなのに……。


気が付けば、目の間にフェンスが現れていた。