そう言って画面へ視線を戻した時、画面一杯の黒い顔が見えてスマホを床に落としていた。


心臓は早鐘を打ち、呼吸が苦しい。


一瞬にして全身に汗をかき、体温が上昇する。


「どうしたの友里、手が滑った?」


梓があたしのスマホを拾い上げながらそう聞いて来た。


あたしは返事ができなかった。


やっぱりあたしは昨日からどこかおかしい。


ドクドクと鳴り続ける心臓に深呼吸をし、恐る恐るスマホの画面を確認する。


そこにはフェンスの写真が表示されているだけで、顔なんてどこにも映っていなかったのだった。