ハッとして目を覚ますと部屋の中は暗く、まだ夜中だということがわかった。


体全体を使って大きく深呼吸を繰り返す。


こんなに長く気味の悪い夢を見たのは初めてかもしれない。


しかも、やけにリアルで……。


「お母ちゃん」


そんな声が聞こえてきてあたしは息を飲んだ。


上半身を起こし、薄暗い月明かりで照らされている室内へ目を凝らす。


今、たしかにソレの声が聞こえて来た。


そして、やはりあの視線を感じたのだ。


「近くにいるんでしょ? お母さんを食べに来たの?」


震える声でそう聞いた。


しかし、返事はない。