血肉の臭いが周囲に立ち込めて吐き気がした。


「いや……いや!!」


次々に逃げ惑うクラスメートたち。


夕夏を食べたソレは更に大きく成長し、今度は梓を追い詰めた。


「きゃあああああああ!!」


梓の絶叫。


「梓!!」


ソレに手を伸ばして止めようとするが、ソレはびくともしない。


「やめなさい! 友達を食べないで!!」


懸命に叫ぶと、ソレがこちらを振り向いた。


当時のような可愛さは消え失せた、鋭利な目があたしを貫いた。


「や……やめなさい」


あたしは後ずさりをして言う。


この子はあたしのお腹から生まれて来たんだ。


あたしがご飯をあげていたんだ。


怖がる必要なんてない!


そう思うのに、声が震えた。