夢をみていた。


ソレが出てきてからは見ていなかった、悪夢だった。


あたしの前に姿を現したソレは、もうあたしの知っている姿ではなかった。


沢山の人を食べ、大きく成長したソレは人間の倍の大きさがあった。


「やめて!!」


そんな悲鳴が聞こえてきて視線を向けると、夕夏が逃げていた。


夕夏は時折こけそうになりながら、必死でソレから逃げている。


しかし、それはほんの数歩歩いただけで夕夏に追いついてしまった。


ソレが細い指先で夕夏の首を掴み上げた。


夕夏の絶叫がこだまする。


夕夏は必死でもがいて抵抗するが、ソレは牙をむき出しにして夕夏の頭をかみ砕いた。


頭蓋骨がバリバリと音を立てて破損していく。


食いこぼされた脳味噌がボトボトと足元に振って来て、跳ねた。