「元気ないな、どうした?」


そう声をかけられてハッと我に返った。


周囲を見回してみると、教室の中にはあたしと透の2人しか残っていなくて、みんな帰った後だった。


「ご、ごめん。すぐに準備するから」


そう言い、慌てて鞄を机に出した。


教科書を入れている間、後方から視線を感じて振り向く。


しかし、そこには誰もいない教室が広がるばかりで、誰の姿もなかった。


「大丈夫か? 視線を感じるのか?」


「うん……。でも、勘違いだから大丈夫」


あたしはそう言い、鞄を持って立ち上がった。