「そう言えば、名前を付けるのを忘れてた」


歩きながら、ふとソレに名前がないことに気が付いた。


あの日突然腹部から現れて混乱していたし、ソレに与える食料のことで頭がいっぱいになってしまっていた。


「って言っても、性別もわかんないしなぁ」


そう言ってソレの顔を見つめる。


全体的に毛の量が増えて来ていて、牙も立派になってきている。


見た目は男っぽい。


1人で悩みながら歩いていると、後ろから透が声をかけて来た。


「おはよう友里。昨日バイトだったんだろ? どうだった?」


「おはよう。バイトは楽しかったよ」


この子へのご飯もちゃんと確保できたし、ラッキーな日だったことを思い出す。