栄華の暴走する気持ちを抑えるかのように、音咲が栄華を強く抱きしめた。栄華の瞳から涙がこぼれた。

暫く栄華を抱きしめ、背中をさすった後、音咲は栄華と向き合い、目を真っ直ぐに見つめた。

「荒野さん……。栄華さん、少し厳しいことを言うけど、ただ思うだけでは何も起こらないの。好きな人を自分のものにしたいなら、何でもする覚悟が必要よ。」

栄華の手を握り、真剣な口調で音咲は言った。

「何…でも…?」

「そう。例えば、邪魔な人間を排除する…とかね?」

一瞬垣間見えた音咲の鋭い瞳に、栄華は背筋が凍った。初めて見たその表情に戸惑う栄華。