同じ班の生徒たちは皆帰ってしまい、ひなりは1人教室に取り残された。

ひなりは小さく溜息をつくと、掃除用具入れから箒と塵取りを取り出した。

ガラッ

誰かが教室のドアを開ける音がした。
振り向くと、そこに居たのは担任の閨川だった。

「…。」

教室に1人で残って掃除をしようとしているひなりを見て、閨川は何となく察したのだろう。
しかし、閨川は何事も無かったかのようにひなりの方へ歩いて来て、そして、掃除用具入れから箒を一本取り出した。