「今日はありがとう。気を付けて帰ってね」 玄関先で見送る美月。 月明かりに照らされ、影で濃くなる妖艶さが俺を惑わせる。 俺を見つめるこの瞳が、光に反射して妙に潤んで見えた。 嗚呼もう本当に、愛おしい。 既に俺は、美月の全てに囚われてしまったのだ。 この女のためならどんな犠牲も厭わない。 そんなことを思わせる魔性の女。 だけど俺は本当に、美月を救ってやらなければならない。 引き上げて。 それが例え利用でも、今はそれでいい。