こんな人数の男たちに一人の女が勝てる訳なくて、あっという間に車に押し込まれた。


「何が目的なの」


目隠しも、口を塞がれたりもされず、ただどこかに連れて行かれているだけ。


「ん?いーのいーの、あんたは大人しくしていれば」


何も教えてもらえないまま、私はどこか廃工場のような所へ連れ込まれた。


陰湿で、薄暗い、嫌な場所。


「手は縛らせてもらうな」


ごめんと謝りながら私を椅子に座らせ、後ろ手で手を縛る。


そして男は誰かに電話をかける。


「よう、黒燐だ。お前の女は預からせてもらったぜ」


そう言ってすぐ電話を切った。


お前の女、って。


「電話の相手、相澤洸?」


一仕事終えたように、男は私の横の椅子に座った。


部屋の扉の周りは男が数人で囲んでいる。