元々学校も違ければ、最寄駅も違う私たちは彼からの脅しに近い誘いが無ければ会うのはおろかすれ違うことすら無い。


だから安心は出来なくとも、彼に会うことがないだけで私の心は少しずつ不安に襲われることは減っていった。


「お姉ちゃん!優也ってば本当面白いんだよ!」


同い年なこともあってか、すっかり優也くんと打ち解けた花那は、明るく笑いながら戻ってきた。


それはつい先日、何かあったなんて感じさせないくらいで。


花那にとって加賀くんは少しずつでも過去になっていると。


そう思えた。


「花那、二階はお姉ちゃんが案内するね」


洸に目配せをして、騒めきの中から外れる。