「洸!洸!」


隣の教室に行こうとしていた正にそのとき。


氷室が慌てた様子で俺を呼びに来た。


なんだか既視感のあるこの光景。


無意識に、自分の顔はこわばっていた。


「美月が…!」


尋常じゃない氷室の様子に、急いで隣の教室に走る。


壁を隔てたすぐ隣。


俺の目に飛び込んできたのは、真っ白な顔でスマホの画面を見つめる美月。


俺が来た音を聞き付け、ギギギと効果音が付きそうにゆっくりとこちらを向いた。


呆気なく壊れてしまいそうな脆さ。あと一粒何かが落ちればそのダムは溢れてしまう。


「何があった?」


明らかにおかしいその様子。