予鈴が鳴り、体を離して見た洸の目には不安と、心配と、慈愛が混ざり滲んで見えた。 「暫くは白鳳の倉庫に行けないかもしれない」 頷いて、離れた洸の手。 「それじゃあ…」 お互いが、名残惜しそうに見つめる。 何故かこの日は離れ難かった。 間違いなく洸の目は私を射抜いているのに、嫌な焦燥感がチラつく。 このまま、何もなければ良いのに。 先に教室に入った洸の後ろ姿を見て、心からそう思った。