「あれ…?京香…?」


部活のデータをまとめて、時計をふと見るともう既に一時間以上経っていて。
ハッと気付いて、後ろを振り向いたら、彼女の姿は完全にそこにはなかった。
教室に戻って見たけれど、カバンもなくて…下駄箱にはいつもならきちんと揃えられているローファーもなくなっていて。

俺は、酷く焦りを感じた。


『あぁ、またやった…』


そう心の中で思いながら、静かにため息を吐く。


「今日こそは、一緒に帰ろうって約束してたのに、な…」


いつも、そうだ。
何かに夢中になると。それ以外が考えられない。
だから、俺は彼女がどんな気持ちでこの部室から出ていったのかなんて、考えも付かなかったんだ。
明日の朝、会った時に謝罪すればいい…それくらいの気持ちでいたんだ…。