侑吏くんといると、いつもこうだ。
気づけば彼のペースに乗せられている。
「なー、当ててやろうか?」
「はい?」
「おまえのため息の理由」
「なっ、」
意地悪く口角を上げた侑吏くん。
その表情は私の苛立ちを煽るというより。
じわりと変な汗が滲む感触がする。
私がハルのことで悩んでいること、侑吏くんに当てられたくない?
それとも当てられたい?
ぐるぐると考え込む私の様子なんて、侑吏くんには関係ない。
彼はもったいぶらずに口を開いた。
「どうせ期末テストとかだろ、おまえのことだから」
期末、テスト……?
「全っ然違う!! ほんと、侑吏くんって私のこと全然わかってないな!」
「何怒ってんの」
冷静に指摘されて、はっと口をつぐんだ。
だ、だって。
『当ててやろうか』なんて、さもわかってます風に言ってきたから。
かすりもしない回答に、拍子抜けしただけだ。
そもそも、侑吏くんに私のことなんてわかるはずないもん。
わかってたまるかって話だよ。
だから、もやっとしたのは残念だった、とかそういう類の感情ではない。断じて。
「つーか、テストがやばいのは事実なんじゃねーの」
「……っ?」
「次、赤点取ったら夏休み補講だっけ? 古典と現代文」
「な、んで知ってるのっ?」
「中間でずいぶんと悲惨な点数取ったらしいじゃん。てか、古典はまだしも現代文で赤点って逆にどーやって取んの」
「だからっ、何でそんなこと知ってるの!?」
「……。風の噂?」
悪びれずに首を傾げた侑吏くんを、ぎろりと睨む。



