歩乃が目を覚ますと、窓から夕日が差していた。

歩乃はさっきまで麗也に暴力を振るわれ意識を失っていたことを察知し身構えたが、歩乃の上に馬乗りになっていたはずの麗也は、もうそこには居なくて、部屋の片隅に蹲っていた。

「……れい…や?」

恐る恐る呼びかける歩乃。
すると、麗也はおもむろに顔を上げた。
歩乃を見つめる麗也のその表情は、さっきまでの怒りに満ちた顔ではなかった。

「アユノ…」

歩乃をじっと見つめてそう呟くと、麗也は立ち上がり、歩乃の方へと歩いてきた。