園内を一通り巡ったあと、軽食を取り、お土産のコーナーで自由行動をすることになった。

私は家族へ渡す手土産のお菓子を買い、シロクマのぬいぐるみを眺めてから店内を後にする。

皆より先に建物から出てきてしまったらしく。店の前の広場には、私の他には真鳥だけがいた。

こちらに気づいた真鳥が、何を思ったのかスッと歩み寄る。


「白坂。最近、悩みとかないの?」

「悩み……?」


唐突な質問に首をかしげ、お土産の紙袋を持ち直す。


「あるなら言って。すぐ楽にしてやるから」

「……?」


楽にするって、どうやって?


「本当に覚えてないんだな。やっぱりこの力、気のせいでなく本物なんだ」


彼は自分の手のひらを見つめ、納得したように一つうなずき、私の前髪に手を伸ばした。

警戒した私は一歩、後ろへ下がる。


「今、白坂が幸せな気分でいられるのは、俺が白坂の過去の記憶を消したからなんだよ」

「え?」


記憶を、消した?


「嫌な記憶は全て、ね」