3度目に、君を好きになったとき


もう一度試してみたかったのに、真鳥はすでに背を向けて、仲間とボールを追いかけ始めていた。


「結衣? どうかした?」

「……あ。何でも、ないです」

「そう?」


先輩の指がすっと離れていく。


そういえば、さっき何か言いかけていなかっただろうか。

詳しく聞き返すことはできず、今の出来事に思いを巡らせているうちに、自分の家に着いてしまう。



「じゃあ、明日のことはまた、あとで連絡するから」


私の家まで送ってくれた先輩は、去り際に笑顔を見せた。


蓮先輩がそんなふうに笑ってくれるなら。

今はまだ、楽しまなきゃ。

先輩が私から離れていくまで。


「……はい。連絡待ってます」


別れのときが来るのは怖い。

本当は、嫌われる前に逃げたい。


でも、自分から先に離れる勇気はないし。

先輩のそばにいたいという気持ちの方が大きかった。